ネコちゃんの唾液腺嚢胞
まだ生まれてから5ヶ月齢の子猫ちゃんの口の中です。
口をあ〜んと開けてもらっている写真です。
舌の裏側のあたり(青矢印)が腫れているのがわかるでしょうか。
これにより、ご飯を食べたいのに、邪魔してうまく食べれず痩せてきていました。
この病気は唾液腺嚢胞(唾液粘液嚢胞)といい、イヌでの発生が多く見られ、ネコでは少ないです。
特に、この嚢胞(膨らみ)が舌下に発生するものを「ガマ腫」といいます。
簡単に言うと、この病気は唾液が漏れ出して炎症を起こす病気です。
唾液を作る工場を唾液腺といいますが、耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺など複数あります。
また、唾液腺で作られた唾液は、口の中に移動するために導管という道路を流れていきます。
この病気は、この唾液腺やその導管が傷害を受け、唾液が漏れ出し、膨らみとして貯留します。
外傷、唾石、遺伝など色々と傷害の理由はあるのですが、原因不明なことも多いです。
一番膨らみとして、出やすい場所は、舌の裏、顎のあたりが多いです。
治療として、嚢胞(膨らみ)を針で刺して抜くこともありますが、この子は他院さんにて既に複数回抜いてもらっていましたが、だんだん抜けなくなり、再発を繰り返してしまうとのことで、ご来院されました。
他の治療法で造袋術といって、膨らみを切除して、そこに穴を作って縫ってあげる方法もあります。
けれどこれも再発することもあるため、手術法は飼い主様とよく相談させていただきます。
今回のネコちゃんは経過も長く、栄養状態も悪くなってきていたため、
相談の上、根治を目指し、唾液腺(舌下腺と下顎腺)を摘出することにしました。
小さいため、少々大変でしたが、無事にうまくいきました。
先日、抜糸にご来院されました。
よくご飯も食べて、元気いっぱいになっているとのこと。
口を開けて見てみると膨らみも消え、綺麗になっています。
小さいのによく頑張りました。
元気一杯成長するんだよ〜!!
普段から、健康チェックとして口の中も見てあげることも大事ですね。