ダックスさんに多い椎間板ヘルニア
ダックスさんを含め小型犬を飼われている方は、
椎間板ヘルニアをご心配されている方も多いのではないでしょうか。
ヘルニア(胸腰部)として連れてこられる症状として多いのは、
・抱っこや脇の辺りを抱えようとすると、悲鳴を上げる
・ブルブル震えて動こうとしない、食欲がない
・後ろ足がヨロヨロしている
・後ろ足が立てない
などがあります。
ルンバちゃんは14歳。とってもお散歩が大好きで、よくご飯も食べる子でした。
14歳とは思えないほど活発な子だったそうです。
ある日、ソファーを飛び降りた時なのか、突如一瞬で、両方の後ろ足が立てなくなってしまい、
当院へお越しになりました。
来院時、後ろ足が完全に麻痺しており、
腰砕けのような状態で、前足だけで立っている状態でした。
経過や症状から、椎間板ヘルニアや背髄損傷の可能性がありました。
「今まで14年間、全くこういったことがなかったのに、まさかこの年でヘルニアになるとは・・・。
もうこの子は大好きな散歩ができなくなってしまうんでしょうか・・。」
と飼い主さんもかなりのショックを受けられていました。
すぐさま、炎症を抑える血管点滴をしながら、
今後の治療法や検査について飼い主さんにお話しをしました。
一般的に、椎間板ヘルニア(胸腰部)の治療は、
内科治療(薬や運動制限)と外科治療(手術)に分かれます。
後ろ足の麻痺の具合(痛覚)と、本人の痛みの具合から総合して、
どちらの治療法が良いかを選択します。
14歳で高齢になると、どちらの治療法ともメリット、デメリットがあります。
・内科治療であれば、通常1ヶ月間の絶対安静(動かさない)が必須
高齢のため、その間に筋力が低下して、起立できなくなる可能性
神経を圧迫している飛び出たヘルニア物質は、そのままになるため、
元どおりのように走れるようになるかはわからないが、歩行はできるようになる可能性もある
・外科治療であれば、早期からリハビリ、運動が可能
以前と同じように走れるようになれる可能性は高いが、高齢のため手術を乗り越えてくれるか
飼い主さんにもよくお考えいただき、お話を十分にさせていただきました。
個人的に、高齢な子になると、病気の治療選択は若い子と少し変わってくると思っています。
体に対する治療の負担、飼い主さんのお考え、治療期間に対する治療効果、通院治療なのか入院治療なのか、根治治療なのか、痛みだけをとるなどの緩和治療なのかなど。
ルンバちゃんの飼い主さんは「この子の年齢は15歳だけど、とても家ではそうとは思えないほど元気いっぱいだった。また、大好きな散歩をさせてあげてたい」と外科治療を選択されました。
専門施設にてMRIを撮影してもらい、
当院にて手術を行いました。
無事に手術も乗り越えてくれて、手術後すぐにご飯も食べ、
数日後から起立もできるようになってくれました。
こんな時は本当に嬉しいです。
信頼して手術を任せていただいた飼い主さんにも感謝をしております。
先日、ルンバちゃんがホテルでお泊りにいらっしゃいました。
とても元気で、想像以上の回復をしており、元気よく走り回ってくれていました。
本当に14歳ですか?と言いたくなるぐらいの、はしゃぎっぷり。
今後も椎間板ヘルニアに注意しながら、長生きしようね!