症例

専門診療で対応できる疾患

皮膚の痒み

症状

動物病院に来院するわんちゃんの中で最も多い疾患が実は「皮膚病」です。皮膚病の多くは一度治療して治ってもしばらくするとぶり返すという悪循環を繰り返します。
当院では、慢性の難治性の皮膚疾患にも力を入れて治療しております。
皮膚疾患にはさまざまな原因があり、感染症、皮膚炎、内分泌疾患、免疫疾患、先天的要因、腫瘍、精神的要因、などあります。
難治性の場合は、アトピーやアレルギー性皮膚炎、内分泌疾患、自己免疫疾患など皮膚を診るだけでは分からない事も数多くあります。

治療

一般皮膚検査

顕微鏡検査:
  • 細菌性
  • マラセチア性
  • 糸状菌性
  • 寄生虫性

  • 培養検査(必要に応じて):
    • 細菌培養感受性試験
    • 糸状菌性

    • 一般的な皮膚検査、治療で改善が認められないケースでは、以下の検査を行い治療方針を決定していきます。
      追加検査
      • 一般血液検査
      • 内分泌検査
      • アレルギー検査
      • 特殊検査

犬の症例

皮膚病治療前

皮膚病治療前

皮膚病治療後3週間

皮膚病治療後3週間

皮膚病治療後6週間

皮膚病治療後6週間

猫の症例

猫の皮膚病

猫の皮膚病

猫お腹の皮膚病

猫お腹の皮膚病

ははは

皮膚の腫瘍

症状

「皮膚のできもの」は眼で見てわかるので、早期発見がしやすい腫瘍です。
ワンちゃん・ネコちゃんの皮膚を触って、「皮膚にできものがある」と思ったときは、ご相談ください。
急に大きくなってきた、自壊している(破けている)や、痛がっている場合は早めに獣医師にご相談ください。

治療

できものを見つけたら、病院で針吸引検査を行いましょう。
針吸引検査(細胞診)は、できものの細胞を取り、顕微鏡で確認する検査です。その結果と、できものの外見上の評価により、診断と治療を考えていきます。
できものの種類によっては、経過をみてよいものもあります。また、逆に正確に評価し、適切に手術にて切除をした方が良い場合もあります。
良性の脂肪腫であれば、通常は無治療で様子を見ることも多いですが、急に大きくなってくる場合や、運動の邪魔になっている場合は、治療を行う場合もあります。
ネコちゃんのできものは、悪性の事も多く、小さくても早めに受診をお勧めします。

良性腫瘍

  • 皮脂腺腫
  • 脂肪腫
  • 皮膚組織球腫
  • マイボーム腺腫  など

悪性腫瘍

  • 肥満細胞腫
  • 扁平上皮癌
  • 悪性黒色腫(メラノーマ)
  • 軟部組織肉腫  など

症例

肥満細胞腫(悪性)

肥満細胞腫(悪性)

皮膚組織球種(良性)

皮膚組織球種(良性)

皮膚組織球種(良性)

形質細胞腫(良性)

基底細胞腫(良性)

基底細胞腫(良性)

耳軟部組織肉腫(悪性)

耳軟部組織肉腫(悪性)

乳腺腫瘍

症状

犬の乳腺腫瘍は、犬の各種腫瘍のうち皮膚腫瘍についで二番目に多い腫瘍です。この乳腺腫瘍の病理組織学的検査統計によると、全乳腺腫瘍例の50%以上は良性といわれています。
猫の乳腺腫瘍の発生率は、犬の乳腺腫瘍の発生率に比べると半分以下ですが、70~90%が悪性といわれています。
特に、避妊手術をしていないメスの子は、高齢になるにつれ発生率があがるため、注意していきましょう。
*乳腺腫瘍は、初めての発情(生理)がくる前に避妊手術を行うと発生する確率が低くなり予防が可能です。初回発情以降でも早めに避妊手術を行ってあげることで発症率は低くなります。

治療

視診、触診にて判断していきます。必要に応じて、細胞診検査も行います。
多くは、手術によって切除を行います。
良性か悪性かの評価は見た目や大きさでは判断が難しく、手術にて摘出した腫瘍を病理検査に提出し評価します。
年齢やご家族様とのご相談により、方針を決定させていただきます。

症例

犬の乳腺腫

犬の乳腺腫

乳腺腫瘍犬猫

上:犬乳腺腫瘍 下:猫乳腺腫瘍

肥満細胞腫

症状

肥満細胞という免疫やアレルギーに関わる細胞が腫瘍化したものです。
皮膚や内臓など全身に発生します。
犬の皮膚腫瘍の中では、1番発生が多く、猫の皮膚腫瘍では2番目に多いです。
このできものは、炎症を引き起こす物質を内部にたくさん持っているため、急に大きくなったり、触ると赤くなったりします。
極力触ることを控えた方が良いです。

治療

多くの場合は、針吸引検査(細胞診)にて診断が可能です。
肥満細胞腫は悪性腫瘍のため、手術にて治療を行います。
手術前に全身状態や腫瘍の広がりの評価(血液検査、レントゲン検査、超音波検査)を行うことは重要となってきます。

この腫瘍は、腫瘍周囲に広がっていることも多く、切除の際に、2cm以上余分に切除する必要があります。
発生している場所や、転移の具合、腫瘍のグレード(悪性度)により、外科手術後も抗がん剤や放射線療法などの治療を必要とする場合があります。
遺伝子検査(c-kit)により、分子標的薬という薬が効果的な場合もあり、手術前や手術後に使用することもあります。

症例

肩のあたりにできた肥満細胞腫

肩のあたりにできた肥満細胞腫

尾の肥満細胞腫

尾の肥満細胞腫

ははは

脾臓の血管肉腫

症状

血管肉腫は血管の細胞由来の悪性腫瘍です。
脾臓に発生することが多く(血管肉腫の50%)、転移を起こしやすい腫瘍になります。
しかし、脾臓は、症状が出にくい臓器(沈黙の臓器)であり、多くは突然の元気消失です。お腹の中で腫瘍が破裂していることも多く、大量に出血を起こします。
超音波検査上で脾臓に巨大なできものが見つかってしまった場合でも、血腫や良性のこともありますので、諦めずに治療を受けていただきたいと思っています。
早期発見できる健康診断が大変重要な病気です。

治療

脾臓全摘出を行う外科治療になります。
また、摘出後に化学療法を行う事もあります。

症例

超音波検査

超音波検査風景

リンパ腫

症状

「リンパ腫」とは、体を異物の侵入から守るリンパ球が腫瘍化したものです。リンパ球は全身を循環しているので、さまざまな臓器に浸潤していく可能性が高く、難治性の病気といえます。

症状としては、しこりとして発生する場合と、しこりのないまま症状が進行するケースがあります。

治療

リンパ腫の治療は、メインが抗がん剤による薬物療法です。抗がん剤のほかにステロイド剤を使うこともあります。治療がうまくいくと寛解するケースもありますが、その後で再発する可能性はかなり高く、治癒の目的で行う治療というよりは、延命を目的とした治療が行われます。

眼の充血

症状

眼の充血にはたくさんの原因があります。そのため、症状も、眼をしばしばさせたり、涙やけが出てきたりと多岐にわたります。
眼の表面の病気(角膜潰瘍、結膜炎、ドライアイなど)、眼の奥の病気(ぶどう膜炎、緑内障など)一般眼科検査として、視覚検査、反射検査、涙液量検査、細隙灯検査、フルオレセイン染色検査、眼圧検査、散瞳眼底検査などを行います。必要に応じ、眼科超音波検査を行います。

治療

原因により、治療を行っていきます。
眼の治療は、点眼などご家族様のご協力も必要になります。
また、全身疾患により眼に症状が出てくることもあるため、体を総合的に診る必要があります。当院では眼科専門医の来院もあり、難治性の治療も行っております。
※白内障や網膜剥離の手術は行っておりません。
角膜結晶沈症

角膜結晶沈着症

角膜変性症

角膜変性症

白内障

白内障

歯石とり

歯周病の発生

歯垢(プラーク)の形成と細菌が大きく関与します。

歯垢はどうやってできるか。
唾液に含まれる糖タンパクは、歯の表面にくっつき、薄い膜(ペリクル)を形成します。
このペリクルは歯を刺激から守ってくれる大事な膜です。また、口腔内の細菌を歯にくっつけやすくもし、歯垢形成の足場としても作用します。

ペリクルに多数の細菌や食物残渣などが付着し、時間が経つと、歯周ポケット内にできた歯垢内にいる細菌がバイオフィルムという膜を作り、そこから歯周病が発生します。

歯石は、歯垢が唾液中のカルシウムとリンと一緒になり硬くなったものです。
歯石の中の細菌はすでに死んでおり、歯周病の直接の原因にはならないです。
しかし、歯石はザラザラしており、歯垢がくっつきやすいです。
そのため、さらに歯周病を助長する原因となります。

歯石には、目で見える歯石と見えない歯石が大きく2種類あります。
歯ぐきの上についている歯石(歯肉縁上歯石:見える)と歯周ポケット内にある歯石(縁下歯石:見えない)の「2つ」です。
「2つ」の歯に付着している歯垢、歯石、バイオフィルムなどを機械的に除去することで、歯周組織の環境を改善します。

当院の歯石とり

当院の「歯石・歯垢とり」では、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)からポリッシングまでを行い、歯周病治療・予防の一環としております。
また、歯周プローブと必要に応じて歯科専用レントゲンを用いて、1つ1つの歯の状態を確認します。

しかしながら、実際には、犬や猫の歯周病はすでに進行しており、この一連の治療では不十分で、歯周外科や抜歯を必要とすることが多いです。
当院ではアメリカ獣医歯科学会が分類する歯周病のステージにおいて推奨される治療を行なっております。
スケーリング ポリッシング(歯面研磨) ルートプレーニング キュレッタージ(歯肉縁下掻爬) 歯肉剥離掻爬術(歯肉粘膜フラップ) 抜歯
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
当院では、歯科用ユニット・歯科専用デジタルレントゲン装置を設備しております。
歯科用ユニット
歯垢・歯石除去を行う超音波スケーラーとともに、高速エアタービン、マイクロエンジン、スリーウェイシリンジ、バキュームシリンジが装備されており、歯石除去から、口腔外科にも対応しております。
「1つ1つの歯を丁寧に、見づらいところまで」を心がけ処置を行なっております。
麻酔をかけずに行う治療は、人と同じように正しく治療が行えない、見えない場所の歯石歯垢が除去できないため、推奨されておりません。
獣医学領域でも、歯周病が全身性に悪影響をもたらすことも示唆されております。中途半端に歯石を取るよりも大事なことはしっかりと痛みを取ってあげること、健康を守って長生きしてもらうことだと当院は考えております。

症例

歯石取り治療前

歯石取り治療前

歯石取り治療前

歯石取りの治療後

ははは

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは

小型犬の関節の病気の中で特に多いのが膝蓋骨脱臼です。
後ろ足の膝のお皿の位置がずれて脱臼してしまう病気です。「何となく歩き方がおかしい」「片足を上げてスキップするように歩いている」というような場合は、「膝蓋骨脱臼」の可能性があります。

膝蓋骨脱臼(パテラ)は、内方脱臼と外方脱臼があります。
内方脱臼が7〜8割と言われておりますが、外方脱臼が認められる子や内方外方両方に脱臼の認めらえる子もいます。

膝蓋骨(パテラ)は、後ろ足の屈伸運動に大変重要な働きをしています。
膝蓋骨脱臼は後ろ足全体に影響を及ぼす運動器疾患です。

膝蓋骨内方脱臼(パテラ)の重症度分類

整形外科的検査(触診)にて外れやすさを判断します。

グレード1 膝蓋骨は触診で簡単に外せるが、手を離すと正しい位置に戻る。
グレード2 膝を曲げ伸ばしするだけで、簡単に膝蓋骨が外れる。
グレード3 膝蓋骨は常に外れたままだが、手で押すと元に位置に戻せる。
グレード4 膝蓋骨は常に外れたままだが、手で押しても元に位置に戻らない。

膝蓋骨内方脱臼(パテラ)の症状

初期の場合は痛みが発生しないこともあるため、飼い主様は脱臼に気づけないことが多々あります。
症状が進行するに伴い、足を浮かせる時間が長くなったり、頻度が高くなります。関節炎や軟骨損傷による痛みが出てくることがあります。
・スキップのような歩行
・段差やジャンプを嫌がる
・後ろ足を上げ(ケンケン)、膝を曲げ伸ばしした後(膝蓋骨脱臼を元に戻そうとしている)、再び普通に歩き始める

様子を見ていて良いですか

年齢や、グレード(外れやすさ)、症状の有無により飼い主様と相談の上、治療方針を決めていきます。グレードや症状が軽ければサプリメントなどで対応し、進行や合併症が生じていないかを定期的にチェックしていきます。

また、症状やグレードが重い場合は、年齢と総合的に判断し、治療として脱臼しないよう手術をお勧めすることもあります。

どんな手術ですか

その子の足の状態(筋肉や骨の状態)と経過により手術法を決めていきます。
簡単に言うと、
  • 膝のお皿の土台をしっかりと形成し、安定化させること
  • 膝のお皿が正しく動けるように筋肉や靭帯を調整することを行います。
手術方法は滑車形成術、脛骨粗面転位術、筋肉と支帯の解放と縫縮、大腿骨矯正骨切り術などがあり、その子に合わせて複数の手術を合わせて行います。

前十字靭帯断裂

症状

前十字靭帯とは、大腿骨と脛骨をつないでいる靭帯です。
この病気は、中〜高齢のワンちゃんが多く、突然後ろ足を挙げ、かばいながら歩く事が多いです。
大型犬に多いと言われておりましたが、最近では小・中型犬でも数多く見ます。

診断

  • 視診(歩く際に、負重の減弱や挙上)
  • 触診(整形外科学的検査)
    膝関節腫脹、過伸展痛、脛骨圧迫試験、脛骨前方引き出し検査
  • レントゲン検査
    年齢や経過により、CRP(炎症マーカー)検査、関節液採取も行い、細胞診、細菌培養検査も行います。

診断

治療の基本は外科治療になります。
不安定になっている膝関節からくる痛みを早期にとってあげ、いつも通り早く運動させてあげるためには、手術が必要になります。
しかしながら、年齢や別疾患などの理由により手術が受けられない場合には、内科治療でケアをしていきます。

当院で行っている手術法

  • 関節外法(flo法)
    大腿骨の種子骨と脛骨粗面に開けた穴に人工靭帯を通す事で失った前十字靭帯の代わりをさせて膝を安定させる方法です。
    小型犬では主にこの関節外法が適応となります。手術時間も短くすみ、大きな合併症も少ないですが、術後すぐは関節の可動域の制限が起きたり、大型犬の場合には術後ゆるみなどが生じたり、改善までに時間がかかる場合があります。
  • 機能的安定化術
    ・脛骨高平部水平化骨切術(TPLO)
    関節外法より新しい治療法で、人工靭帯を使う代わりに骨を切り特殊なインプラントで固定する事で膝の構造を変え、膝を力学的に安定化させる方法です。
    人工靭帯を使用しないため体重の重い大型犬でもゆるみなどが起こらず安定した改善が認められ、関節外法に比べても早期の改善が期待できます。
    小型犬でも治療可能です。

骨折

「子供が抱っこしていたら落としてしまった、その後から前足を挙げている」
「ソファーや机から自分で飛び降りてから悲鳴をあげて足を挙げている」
「動物の足を誤って飼い主様が踏んでしまった」

骨折をすると足を完全に地面につけなくなってしまったり、変な方向に足が向いてしまったりします。
特に、トイプードル、ポメラニアン、イタリアングレーハウンドなど小型犬に多く発生します。
小型犬の前肢はとても細く、筋肉量や骨への血流が乏しいことから骨折すると治りが悪いと言われております。

また、猫ちゃんでは、お外に行く子が交通事故で骨折される事が多く、内臓損傷とともに、骨折して来院することもあります。
骨折には、1ヶ所折れている単純骨折や強い衝撃により複雑骨折もあります。
その子が早く回復できるよう、その子の年齢、性格、体重、骨折の場所や種類を見極め、手術法(外固定、プレート固定、ピンニングなど)の選択をし、治療を進めていきます。
当院はチタンプレートをを主に使用しています。

症例

◆テーブルから降りたら悲鳴をあげた子犬さん

術前:中手骨折(犬)

術後:中手骨折(犬)

◆車に足を轢かれたワンちゃん

術前:後肢中足骨骨折(犬)

術後:後肢中足骨骨折(犬)

 

◆誤って落っことしてしまい指先を骨折した子犬さん

術前:前肢中手骨骨折(犬)

術後:前肢中手骨骨折(犬)

◆ソファーから飛び降りたら前肢を骨折したワンちゃん

術前:前肢橈骨骨折(犬)

術前:前肢橈骨骨折(犬)

◆お外で交通事故に遭った猫さん

術前:下顎骨折(猫)

術後:下顎骨折(猫)

◆お外で交通事故に遭った猫さん

術前:大腿骨骨折(猫)

術後:大腿骨骨折(猫)

 

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