肛門周囲腺腫・会陰ヘルニア

高齢犬になると、皮膚にできものが出てくることが多いです。

その中で、肛門の周りに出てくるできものもあります。

よく目にするのが、「肛門周囲腺腫」という良性腫瘍です。

ワンちゃんの肛門をマジマジとはあまり見たことはないのでしょうか。

この機会に一度、肛門の周りにできものがないか見てあげてください。

 


下の写真はシッポを持ち上げて、お尻を見ている写真です。

(手術前のため、肛門は糸で結んであります)

この子は肛門の11時と7時方向にできものが2箇所あります。

肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫は良性ではあるものの、

自壊といって表面から出血したり、膿が出たりすることが多い印象があります。

ご覧になっていただくとお分かりになると思いますが、肛門のすぐそばに出現するため、自壊などすると排便のたびに痛みが出たり、本人も気にしてしまいます。

この子の肛門7時方向にある小さい腫瘍は出血を繰り返していたそうです。

飼い主様はこの子が12歳のため、とってあげたい気持ちはあるけど、

麻酔をとても不安がられていました。

 

私自身の考えでは、12歳ですが、この子の今後を考えると、手術をして取り除いてあげた方が良いと考えました。

手術前に検査をし、麻酔に対する危険性を限りなく少なくし、

その子にあった麻酔をしてあげる事で、

高齢な子でも必要であれば(もちろん飼い主様も望まれていれば)、

手術をしてあげるべきだと考えています。

肛門周囲腺腫

 

無事に手術も頑張ってくれ、

現在は抜糸も終わり、経過良好です。

お尻の違和感からもおさらばできてよかったね。

 

 

 

 

肛門周囲腺腫は、男性ホルモンが関与しているため、多くが去勢をしていない男の子に発症します。

この写真の子も腫瘍切除と同時に去勢手術も行いました。

若齢のうちに去勢手術をしておくことで肛門周囲腺腫になる確率は低くなります。

 

 

 


また、去勢手術をしていない子に多い印象がある病気の1つに「会陰ヘルニア」とう病気があります。

去勢をしている子もなることがあるため、まだ本病気の原因は不明です。

会陰?ヘルニア?聞きなれない言葉ですよね。

簡単に言うと、

会陰というのは、お尻あたりのこと、

ヘルニアとは、内臓などが正常いる場所から、いちゃいけない場所に脱出する(出てきてしまう)こと、です。

つまり、お尻あたりから通常でてはいけないものが、出ている病気です。

お尻を作っている肛門横あたりの筋肉と筋肉の隙間(穴)から内臓などが飛び出してしまう病気です。

シッポの付け根の真横あたりがたんこぶのように膨らむことが多いです。

みなさんのワンちゃんも見てあげてください。

時間経過とともに、ウンチが出にくいなど症状が出てきます。

この穴は小さいうちに手術でふさいであげた方が良いです。

下の写真は、上の写真の子とは違う子ですが、

空いてしまった穴に膀胱・前立腺が入り込み、

癒着(正常の場所ではない場所で、くっついてしまう、本来の機能がしづらくなること)をしていました。

癒着を丁寧にはがし、元の場所に戻してから、筋肉と筋肉の間にできた穴を内閉鎖筋転移術という方法でふさぎました。

また、精管固定術による再発の予防と去勢手術も同時に行いました。

再発が多いといわれている手術ですので、なんとか再発しないでねと願いながら、最善の手術ができたと思います。

あとはまた、楽しく生活してくれるようになってくれればと思っています!頑張れ!!
会陰ヘルニア

 

(手術前の写真がなくてすみません、この子は尻尾の右側が膨らんでいました。手術後は穴をふさいだため、通常通り膨らみがなくなっています。)